Q&A
 
 
Q. 盲学校関係の研究団体等には、どんなものがありますか。
A.
(1) 全日本盲学校教育研究会(略称「全日盲研」)
 

視覚障害教育の研究推進と向上とを目的として、学校単位で加入、登録した正会員と盲学校教育に関係のある特別会員(大学教授等)で組織している。年1回の総会並びに研究大会の開催、機関誌『視覚障害教育』の発行、教材教具の研究・紹介等の事業を行っている。機関としては、代議員制の総会、地区支部2名ずつによる理事会、校長会及び主管校で構成される研究大会運営委員会がある。全国7地区の地区支部があり、それぞれに研究会組織を持つ。事務局は会長校。研究大会の主管校は、7地区の回り持ち。令和元年度から事務局は大阪府立大阪北視覚支援学校内に置き、会長は川副博史校長、副会長は関東地区視覚障害教育研究会(略称「関視研」)の会長及び近畿盲学校教育研究会(略称「近盲研」)の会長が担当。

   
(2) 全国盲学校体育連盟(略称「全盲体連」)
 

盲学校児童生徒の体育の充実のための全国組織として、平成6年に結成された。学校単位で加入。年2回の評議員会(全国8地区から選出)及び数回の専門委員会を開催。主な事業としては、全国盲学校通信陸上競技大会、全国盲学校新体力テストの集計を行い、全国にその結果を知らせている。加えて、全国盲学校野球大会は、昭和41年第11回大会以降資金難のため中断していたが、平成9年度31年ぶりに京都府立盲学校の主管で復活、平成28年度の北海道札幌視覚支援学校が主管する第31回大会で幕を閉じた。平成29年度からは全国盲学校フロアバレーボール大会となり、埼玉県立塙保己一学園の主管で開催。事務局校は、令和元年度から広島県立広島中央特別支援学校。会長は事務局校の校長。

   
(3) 日本弱視教育研究会
 

昭和38年に発足し、平成30年度第60回大会(大阪府)開催。我が国における弱視教育の進歩・発展を図ることを目的とし、年1回、弱視教育研究全国大会を開催するほか、弱視教育に関する学術的・実践的研究、弱視者に対する福祉・医療等の研究等を内容とする機関紙「弱視教育」を年4回発行。会員には、盲学校の教員、寄宿舎指導員、小学校・中学校弱視学級の学級担任のほか、大学や研究所、教育委員会、教育センター、福祉関係施設等から、幅広い分野の関係者が加入。いずれも個人会員である。事務局は、筑波大学人間系(障害科学域)内にあり、会長は筑波大学教授 柿澤 敏文氏である。副会長2名のうち1名は、全国盲学校長会長。

   
(4) 日本点字委員会(略称「日点委」)
 

我が国における点字の表記に関する唯一の決定機関で、盲教育界代表委員・盲人社会福祉界代表委員各7名と学識経験者及び事務局員で構成し、毎年1回機関誌『日本の点字』を発行している。委員の任期は4年で、盲教育界代表委員は全日盲研の総会で推薦する。全国盲学校長会から学識経験者1名を推薦し、委員に就任している。
事務局は日本点字図書館内にあり、会長は日本ライトハウスの渡辺 昭一氏である。

   
(5) 全国盲学校普通教育連絡協議会(略称「普連協」)
 

全国盲学校普通科教員で組織し、学校単位で加入している。盲学校高等部における普通教育の充実と発展を目的とする研究団体である。大学進学を含む高等部普通科卒業生の進路開拓や高等部普通科用点字教科書の原本の選定などが主な事業である。総会は毎年1回、全日本盲学校教育研究会(全日盲研)の前日に開催する。事務局は筑波大学附属視覚特別支援学校。附属視覚特別支援学校の校長が会長を担当する。

   
(6) 日本理療科教員連盟(略称「理教連」)
 

全国の盲学校と視力障害センター等の理療科関係教職員で組織し、理療科教員の大部分が加入している。

理療に関する調査研究、理療科・保健理療科等卒業生の職業活動に対する指導助言などを主な事業とする研究団体である。事務局に法制・調査・広報・学術・国家試験対策の5部を置き、年4回「理教連情報」を発行している。

総会は毎年1回、全日盲研の前日に開催している。事務局は都立文京盲学校内にあり、会長は文京盲学校主任教諭 栗原勝美氏である。

   
(7) 社会福祉法人日本盲人福祉委員会(略称「日盲委」)
 

我が国における最も大きな総括的視覚障害者関係団体で、日本盲人会連合(略称「日盲連」)、日本盲人社会福祉施設協議会(略称「日盲社協」)、全国盲学校長会(略称「全盲長」)がその構成団体である。関係団体の連絡・協議を図りつつ、盲人福祉の発展を目的とした事業の推進に当たっている。なお、日盲連は都道府県の視力障害者団体で構成され、盲学校の理療科教員の大部分も会員になっている。日盲社協は、点字図書館・点字出版所・更生援護施設・盲導犬協会などで構成されている。

 
Q. あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師等の資格試験を実施する東洋療法研修試験財団とはどんなところですか。
A.

「あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」の一部が昭和63年5月25日に改正され、平成5年から、免許資格は厚生労働大臣の行う国家資格試験に合格した者に与えられることになった。これは、あん摩・はり・きゅうが保健医療関係の資格職業の一つで、高度な専門知識と技術とが必要であるところから資質の向上が法改正の趣旨となったものである。

財団法人東洋療法研修試験財団は、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師等の「指定試験機関」並びに「指定登録機関」として厚生労働大臣の指定を受け、国家試験事務、免許登録事務、研修等に関する業務を行う機関として設立されたものである。

 
Q. 入試点訳事業部というのはどんなところですか。
A.

正式名称は、全国高等学校長協会入試点訳事業部という。1980年代からの視覚障害者の大学進学希望の増加に対応し、大学からの入試問題点訳の依頼に公的に応える組織として、大学入試について経験の豊かな全国高等学校長協会の理解と援助のもとに、1990年より活動を始めた組織である。
大学から依頼される入学試験問題、定期試験問題等の点訳および答案の墨訳を最優先の業務とし、試験問題点訳のための技術者の養成も併せて行っている。
近年では、大学入試模擬試験、各種資格試験、学力試験、就職試験等の点訳および答案の墨訳も行っている。また、試験問題の点訳に欠かせない、各教科における視覚障害に配慮した指導法の専門性を充実させることを目的に、視覚障害教科教育研究会を主宰し、毎年全国を巡回しなから二日間の研究会を開催している。
事務局は筑波大学附属視覚特別支援学校内にあり、連絡先は次の通りである。
役員は理事10名以内(内1名は理事長)、監事2名から成り、現役の公務員ではない者で、入試点訳等に造詣の深い盲学校教育関係者、視覚障害学生の支援を先進的に行っている大学の障害者支援に関わるセンターの責任者等に委嘱している。

<連絡先>
〒112-0015
東京都文京区目白台3-27-6
筑波大学附属視覚特別支援学校内401
電話:03-3945-6824
メール:ntj@braille-exam.org
URL:https://www.braille-exam.org/

 
Q. 自立活動を担当する教員の養成はどのように行われていますか。
A.

盲学校における自立活動は、触覚による観察の仕方、歩行指導、日常生活技能訓練、点字情報機器の活用、視覚補助具の活用、中途失明者の障害の受容並びに点字による読み書きなどが主な学習内容である。定数配置は各都道府県ごとになされているが、専門的な指導技術や指導法の習得については、各盲学校内での研修や個人的な研修に委ねられているのが現状である。

日本ライトハウスで盲学校等の教員を対象とした歩行・コミュニケーション等の視覚障害リハビリテーション研修会や、筑波大学で自立活動指導についての公開講座が開催されてはいるが、その数は極めて少ない。なお、自立活動教諭の資格は、文部科学省が筑波大学に委託して実施している特別支援学校教員資格認定試験に合格して、都道府県教育委員会に申請すれば、自立活動教諭の一種免許状を取得することができる。盲学校自立活動教諭の資格認定試験は、平成元年から隔年に実施されている。

 
Q. 点字競技会や弁論大会について知りたいのですが。
A.

全国盲学生点字競技会は、全国盲学校珠算競技会との隔年開催。平成30年度は点字競技会を三重県立盲学校主管で行った。令和元年度は珠算競技会を神奈川県立平塚盲主管で行う。点字は、五十音、転写、聴写の3種目で行われ、学校賞、学部賞、個入賞が贈られる。珠算は、小・中学部対象で読上げ算等4種目。いずれもテープ等により各盲学校で行われる。

全国盲学校弁論大会は点字毎日との共催で毎年10月上旬に開催。全国7地区の予選を勝ちぬいた代表者で7分間の弁論を行う。平成30年度は第87回大会(福島県立視覚支援学校主管)で、優勝者は、近畿地区代表の大阪府立大阪南視覚支援学校の阿部亮介さんであった。演題は「視覚障がい者だから」。

 
Q. 点字教科書・拡大教科書について教えて下さい。
A.

小・中学部用の点字教科書は、検定教科書の中から選定されたものを文部科学省が点字教科書編集委員会を設置し、挿絵や写真等の取扱いを検討し、内容の差し替え、削除、追加等を行って、著作本として発行している。なお、音楽等については点字出版所が出版し、附則9条本(一般図書)扱いである。高等部については全国盲学校長会と全国盲学校普通教育連絡協議会による全国盲学校高等部使用教科書調査をもとに点字出版所が各教科1〜2種類点訳し出版している。附則9条本(一般図書)扱いとなっているが、価格が非常に高価となっている。 拡大教科用図書は、小・中学部については、教科書を出版している会社ごとに拡大教科書を出版しており、9条本(一般図書)扱いとなっている。詳しくは、以下のページを参照のこと。

●教科書発行者等による市販拡大教科書一覧
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/kakudai/1256604.htm

高等部の拡大教科用図書は、ボランティア団体等に頼っている現状である。
なお、現在は小・中学校の通常の学級に在籍する視覚障害のある児童生徒に拡大教科用図書、点字教科書を無償給与することができるようになっている。デジタル教科書を使用できる範囲は徐々に広がり、令和元年度からは中高に加え小学校でも使用可能になった。

 
Q. 覚えておくと便利な言葉にはどんなものがありますか。
A.

視力が全くない人を「全盲」、視力0.04以上0.3未満の人を「弱視」と言う。また、視覚障害者に対して、目の見える人を「晴眼者」と言う。
盲人用文字の「点字」に対して、普通の文字を「墨字(すみ字)」と言う。活字の文章を点字にすることを「点訳」と言い、点字を普通の文字にすることを「すみ訳」と言う。また、活字の文章を音声にかえることを「音訳」と言って「朗読」と区別して用いることもある。点字を指先で読むことを「触読」と言い、手指を使って観察することを「触覚による観察(触察)」と言う。「あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅう」のことを、最近「あはき」と略称することが多い。これまでは、同じ意味で「三療」と称していた。施設名や団体名などを略称することも多く、日本点字図書館を「日点」、カトリック点字図書館を「カト点」、東京点字出版所を「東点」、全日本鍼灸、マッサージ師会を「全鍼師会」、全国病院理学療法協会を「全病理」、弱視者問題研究会を「弱問研」、毎日新聞社が発行している点字週刊雑誌『点字毎日』を「点毎」などと略称して用いている。